1892年
44歳頃

死霊が見ている

画家 ポール・ゴーギャン
Manao tupapau (Spirit of the Dead Watching) / バッファローAKG美術館
寝台の若い女性と背後の暗い姿を、恐れと見られる不安の場面にした。モデルとの大きな年齢差と植民地社会の力関係を切り離せない作品である。

何が描かれているか

若い女性が紫色の寝台にうつ伏せになり、大きく目を開く。背後には黒い服を着た人物のような姿が立ち、周囲に黄色い形が浮かぶ。
タヒチ語の題名は、死者の霊が見ている、あるいは霊を見ているという両方向に読める。女性の開いた目から背後の暗い姿へ視線を移すと、題名が示す「見る」という関係に鑑賞者も加わる。

作品の見どころ

横向きの身体と縦に立つ暗い姿が直角にぶつかる。鮮やかな紫と黄色が、美しさだけでなく不安を強める。
見る側も寝台の女性を正面から見下ろす位置に置かれる。誰が誰を見ているのかという緊張が残る。寝台の明るい布と奥の暗がりが身体を挟み、逃げ場の少ない浅い空間として不安を感じさせる。

制作背景

1892年にタヒチで制作。モデルのテハアマナは、ゴーギャン自身の記述では関係が始まった時に13歳ほどだったとされる。画家は40代で、植民地社会の不平等な力関係を無視できない。
現在はバッファローAKG美術館所蔵。画家が語った怪談的な説明を、タヒチ文化の客観的な記録として受け取らない。年齢は画家の記述に基づく「13歳ほど」とされる情報で、確定値にせず、力関係を考える材料とする。

作品情報

材質・技法
黄麻布に油彩ゆさい
所蔵
バッファローAKG美術館
目録番号
1965:1

出典・画像について

画像:Paul Gauguin死霊が見ている》/死霊が見ている — Paul Gauguin / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-11 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →