木製のジョッキと金属の水差しのある静物
画家 ポール・ゴーギャン →Still Life: Wood Tankard and Metal Pitcher / シカゴ美術館
木の大きな器と金属の小さな水差しを、光と筆の跡で描き分ける。鮮やかな色面へ進む前のゴーギャンを知る一枚だ。
何が描かれているか
食卓の上に、ふたと取っ手の付いた木製のジョッキと、小さな金属の水差しが並ぶ。奥には縦にひだのあるカーテンが掛かり、緑の布が横へ延びている。画面の中心は料理や人物ではなく、身近な二つの器である。大きさの違いと、茶色い木、青灰色の金属という材質の違いが、静かな場面の中で目に留まる。
作品の見どころ
器の輪郭だけでなく、表面に残る短い筆の跡を見よう。ジョッキの丸い胴は明暗で厚みを感じさせ、金属の器には冷たい光が浮かぶ。机の淡い色と奥の暗い色を比べると、手前の物が押し出されるように見える。後年の平らな赤や黄を知っていると、この作品の控えめな色調がいっそう分かりやすい。
制作背景
1880年の油彩で、現在はシカゴ美術館所蔵。この時点の作品にも、物の配置や色の関係を考える画家の仕事が見える。ただし、後のタヒチの絵を最初から予告していたと決めつける必要はない。後年の静物と並べ、輪郭の強さ、陰影の付け方、背景の扱いがどう変わるかを確かめる入口になる。
出典・画像について
画像:ポール・ゴーギャン《木製のジョッキと金属の水差しのある静物》/Art Institute of Chicago / Wikimedia Commons
所蔵館のCC0条件を確認した図版。全景を保ちWebPへ比例縮小。
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