1880年
31〜32歳頃

木製のジョッキと金属の水差しのある静物

画家 ポール・ゴーギャン →
Still Life: Wood Tankard and Metal Pitcher / シカゴ美術館
木の大きな器と金属の小さな水差しを、光と筆の跡で描き分ける。鮮やかな色面へ進む前のゴーギャンを知る一枚だ。

何が描かれているか

食卓の上に、ふたと取っ手の付いた木製のジョッキと、小さな金属の水差しが並ぶ。奥には縦にひだのあるカーテンが掛かり、緑の布が横へ延びている。画面の中心は料理や人物ではなく、身近な二つの器である。大きさの違いと、茶色い木、青灰色の金属という材質の違いが、静かな場面の中で目に留まる。

作品の見どころ

器の輪郭りんかくだけでなく、表面に残る短い筆の跡を見よう。ジョッキの丸い胴は明暗で厚みを感じさせ、金属の器には冷たい光が浮かぶ。机の淡い色と奥の暗い色を比べると、手前の物が押し出されるように見える。後年の平らな赤や黄を知っていると、この作品の控えめな色調がいっそう分かりやすい。

制作背景

1880年の油彩ゆさいで、現在はシカゴ美術館所蔵。この時点の作品にも、物の配置や色の関係を考える画家の仕事が見える。ただし、後のタヒチの絵を最初から予告していたと決めつける必要はない。後年の静物と並べ、輪郭の強さ、陰影の付け方、背景の扱いがどう変わるかを確かめる入口になる。

作品情報

材質・技法
油彩・麻布
所蔵
シカゴ美術館
目録番号
1999.362

出典・画像について

出典:Art Institute of Chicago 個別目録(2026-09-30 確認)
画像:ポール・ゴーギャン《木製のジョッキと金属の水差しのある静物》/Art Institute of Chicago / Wikimedia Commons
画像の出典 / CC0 1.0 / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-30 確認)
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