1888年
40歳頃

説教のあとの幻影

画家 ポール・ゴーギャン
Vision of the Sermon (Jacob Wrestling with the Angel) / スコットランド国立美術館
教会から出た女性たちの前に、聖書の格闘が幻として現れる。現実と幻を木の幹で分け、自然な色より平らな赤を選んだ転換作だ。

何が描かれているか

白い頭巾の女性たちが画面左に集まり、右上ではヤコブと天使が組み合う。太い木の幹が、見る人々と幻の場面を斜めに隔てる。
題材は聖書のヤコブの格闘。女性たちが説教のあとに心へ思い描いた光景として表される。女性たちの頭巾が画面の縁に沿って連なり、その視線の先に小さな格闘の姿が置かれている。

作品の見どころ

地面をほぼ一面の赤にした大胆さを見よう。自然な遠近感より、赤、白、黒、緑の大きな形が画面を組み立てる。
人物の輪郭りんかくは濃い線で囲まれ、奥行きが浅く見える。目に見えない幻を、現実より強い色で示している。木の幹は風景の一部であると同時に、現実の集まりと心に浮かぶ幻を分ける大きな境界として働く。

制作背景

1888年、フランス北西部ブルターニュのポン=タヴェンで制作した。ゴーギャンが印象派の細かな筆触から離れ、単純化した形と色へ進んだ重要作である。
現在はスコットランド国立美術館所蔵。村の信仰をそのまま記録したのではなく、画家が聖書と土地のイメージを結びつけた。宗教的な内容だけでなく、自然な色や遠近法えんきんほうから離れる転換を示す点が、後の絵画を考える手掛かりになる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
スコットランド国立美術館
目録番号
NG 2149

出典・画像について

画像:Paul Gauguin説教のあとの幻影》/説教のあとの幻影 — Paul Gauguin / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-11 確認)
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