マルティニークの牧歌
画家 ポール・ゴーギャン →Volpini Suite: Martinique Pastoral (Pastorales Martinique) / クリーブランド美術館
黄色い紙に黒い線で、人々と木々を描く。マルティニークの題材を版画へ展開した、油彩とは違う線の表現を見よう。
何が描かれているか
木のそばで女性たちが歩き、右側には根元の動物、奥には起伏のある景色が広がる。前の人物は長い服を着て、背中をこちらへ向けている。木の幹が画面の右端を大きく占め、葉や地面には細かな線が重なる。黒い図柄を囲む黄色は、写真の背景ではなく、この刷りに使われた紙そのものの色である。
作品の見どころ
人物の輪郭と、木の葉を表す短い線を見比べてみよう。油彩の緑や茶色を重ねる代わりに、線の密度と黒い部分の広さが景色を区別する。黄色い紙が白い紙とは違う明るさを与えるため、何も刷られていない所も構図の一部として見える。平面の色を整理する関心を、版画の線からも確かめられる。
制作背景
1889年の版画集「ヴォルピニ組作品」に含まれる一枚。技法は亜鉛版を用いるリトグラフで、ここではクリーブランド美術館所蔵の刷りを紹介する。題名が示すマルティニークは、画家が1887年に滞在したカリブ海の島。制作年と現地滞在の年は同じではない。油彩の《マルティニークのマンゴーの木々》と比べると、同じ地域の題材を別の技法へ移す変化が見える。
出典・画像について
画像:ポール・ゴーギャン《マルティニークの牧歌》/The Cleveland Museum of Art
所蔵館のCC0条件を確認した図版。全景を保ちWebPへ比例縮小。
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