1889年
40〜41歳頃

マルティニークの牧歌

画家 ポール・ゴーギャン →
Volpini Suite: Martinique Pastoral (Pastorales Martinique) / クリーブランド美術館
黄色い紙に黒い線で、人々と木々を描く。マルティニークの題材を版画はんがへ展開した、油彩ゆさいとは違う線の表現を見よう。

何が描かれているか

木のそばで女性たちが歩き、右側には根元の動物、奥には起伏のある景色が広がる。前の人物は長い服を着て、背中をこちらへ向けている。木の幹が画面の右端を大きく占め、葉や地面には細かな線が重なる。黒い図柄を囲む黄色は、写真の背景ではなく、この刷りに使われた紙そのものの色である。

作品の見どころ

人物の輪郭りんかくと、木の葉を表す短い線を見比べてみよう。油彩の緑や茶色を重ねる代わりに、線の密度と黒い部分の広さが景色を区別する。黄色い紙が白い紙とは違う明るさを与えるため、何も刷られていない所も構図こうずの一部として見える。平面の色を整理する関心を、版画の線からも確かめられる。

制作背景

1889年の版画集「ヴォルピニ組作品」に含まれる一枚。技法は亜鉛版を用いるリトグラフで、ここではクリーブランド美術館所蔵の刷りを紹介する。題名が示すマルティニークは、画家が1887年に滞在したカリブ海の島。制作年と現地滞在の年は同じではない。油彩の《マルティニークのマンゴーの木々》と比べると、同じ地域の題材を別の技法へ移す変化が見える。

作品情報

材質・技法
亜鉛版リトグラフ・黄色い紙
所蔵
クリーブランド美術館
目録番号
1954.55.9

出典・画像について

出典:CMA 個別目録・公開API(2026-09-30 確認)
画像:ポール・ゴーギャン《マルティニークの牧歌》/The Cleveland Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0 / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-30 確認)
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