何が描かれているか
キリストが聖母の頭に冠を載せる。二人は金色の背景の前に並び、画面の下部には小さな天使がいる。聖母の衣とキリストの衣には、異なる細かな模様が重なる。聖母は身を少しかがめ、キリストは片手で冠を掲げる。二人の周囲には楽器を持つ天使が集まり、上には鳩が見える。枠の内側まで金色の装飾が続き、人物を囲む空間そのものが儀式の場のように見える。
作品の見どころ
冠を支える手の小さな動きに対し、金地と衣の花模様は画面いっぱいに広がる。二人の衣の線をたどると、同じ金色でも面ごとに見え方が変わる。衣の模様は絵具だけではなく、金箔に刻みを入れたり、盛り上げた下地を金で覆ったりして作られた。ゲティ美術館は、重ねた色と金の表面が織物のような効果を生むと説明する。冠、翼、衣を順に見ると細部の技法が分かる。
制作背景
J・ポール・ゲティ美術館に所蔵される1420年頃の板絵である。作品番号は77.PB.92。現在の画像には作品を囲む装飾的な枠も写っている。ゲティ美術館によると、故郷ファブリアーノで聖母をたたえる行列に用いられた板で、もとは裏側に聖フランチェスコの場面があった。後に板が二つに分けられ、裏面は現在別の所蔵先にある。