何が描かれているか
聖母は花模様の布を掛けた長椅子に座り、青い衣の幼子を抱く。背景は金色だが、足元には模様のある床が描かれ、座る場所を感じられる。聖母の赤い衣から金色の袖が伸び、幼子の青い服と向き合う。母子は互いに顔を向け、広い布が長椅子から床へ流れ落ちる。
作品の見どころ
幼子の片手は聖母の襟の「MATER」(母)という文字を指す。もう一方の手には蝶をつなぐ糸があり、所蔵館は蝶をキリストの復活の象徴と説明する。金地に刻まれた四人の天使は薄く、近づいて探すと分かる。襟の文字だけでなく、衣の裾にも祈りの言葉が記される。蝶の糸は小さく、人物だけを見ていると見落としやすい。金地の四人の天使も描き込むのでなく線で刻まれており、光の当たり方によって見え方が変わる。
制作背景
ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アートは1420年頃とする。金地の装飾を保ちながら、布が床に広がる様子や親子の身振りを細かく描いている。同館はフィレンツェで描かれた作品と説明する。細かい模様や金を多く使う一方、幼子の体つきと母の支える手には重さが感じられる。装飾と、人が実際に座っているような表現を一枚の中で見比べられる。