何が描かれているか
聖母は草地に座り、膝の上に横たわる幼子に手を合わせる。後ろにはヨセフや家畜が見え、遠くへ続く風景が開ける。幼子は布に包まれて聖母の膝に横たわり、聖母はその前で手を合わせる。背後の小さな人物や家畜、山の向こうまで続く道を探すと、近くの母子から遠くの土地へ視線が移る。上端は丸く、画面を囲む金色が残る。
作品の見どころ
聖母のまわりには金地が残る一方、画面の奥には山や建物が描かれる。金色の背景と地上の景色が同じ小さな板の中に並ぶ。聖母の暗い衣は金色の縁取りで際立ち、幼子を包む明るい布との対比が強い。背景の金色を一面に敷くのではなく、木、山、建物を入れて場所を感じさせる。人物の大きさが異なるため、手前と奥を区別して眺めやすい。
制作背景
ゲティ美術館の現行検索記録は1420~1422年頃のジェンティーレ作とする。ただし同館の旧目録は「ジェンティーレと工房」と記載しており、帰属の表し方に違いがある。作品はゲティ美術館の77.PB.27。現行の検索記録と旧目録で作者の表し方だけでなく制作年の幅にも差がある。ここでは現行記録に従って1420~1422年頃としつつ、旧目録の「画家と工房」という記載も隠さない。