何が描かれているか
大聖堂の壁に、玉座に座る聖母と膝の幼子が描かれる。青い衣は玉座の下まで広がり、絵は建物の一部として残っている。幼子は聖母の膝から少し身を起こし、聖母の青い衣は下の段まで長く垂れる。人物の周囲にはアーチ形の縁があり、玉座の形も壁のくぼみと重なる。画面の欠けや色の薄れも現在の見え方に含まれる。
作品の見どころ
板絵のように運んで展示する作品とは異なり、この聖母子は描かれた壁の中で見る。アーチ形の場所と人物の座り方をあわせて眺めたい。離れた場所に展示された板絵を見るときと違い、壁画では絵の端と建物との境目が重要になる。聖母の衣の青、玉座の金色、灰色の壁を順に見ると、人物のいる場所と大聖堂の空間がつながる。絵だけを切り離して考えにくい作品だ。
制作背景
イタリア文化財総合目録は1425年の作品とし、ウンブリア州の観光案内もオルヴィエート大聖堂の洗礼盤近くに残る壁画と説明する。観光案内は、左側壁の洗礼盤近くにあると記す。洗礼盤はキリスト教の洗礼に用いる水を入れる設備で、この壁画はその近くで見られる。制作年は1425年とされるが、画像だけから建物内での本来の見られ方まで断定しない。