何が描かれているか
教会の奥に聖ニコラウスの墓が置かれ、その周りに人々が集まる。杖を持つ人、支え合って歩く人、墓へ手を伸ばす人が、手前から奥へ続く。墓は四本の柱で支えられ、人々はその下にも入り込む。右には脚の傷を見せて杖を使う人、手前には肩を組んで歩く三人がいる。一つの奇跡だけを切り出すのではなく、癒やしを求める人と帰る人が同じ空間にいる。
作品の見どころ
床の階段と左右の柱をたどると、目は奥の墓へ進む。人物は一列に並ばず、墓へ近づく人と離れる人が交差するため、奇跡を求めて集まる場の動きが生まれる。奥の半円形の壁には宗教画があり、さらに手前には何列もの柱が並ぶ。墓へ上がる階段と建物の奥行きが、離れた人物を一つの場面に結び付ける。小さな人物を探しながら、誰が墓へ向かい誰が離れているかたどれる。
制作背景
1425年のクアラテージ祭壇画の下段に属する一枚である。祭壇画は後に分かれ、現在はこの板絵だけで元の全体を眺めることはできない。描かれた部分は約35センチ四方と小さい。ワシントンの所蔵館は、かつてフィレンツェのサン・ニッコロ・オルトラルノ聖堂の主祭壇に置かれたとする。元の祭壇画の中央と側面を合わせて考えると、この小画面の役割が分かる。