突撃する近衛騎兵士官
画家 テオドール・ジェリコー →Officier de chasseurs à cheval de la Garde impériale, chargeant / ルーヴル美術館
駆け出す馬と振り返る士官を描いた、ジェリコーの初期の大画面。
何が描かれているか
士官を乗せた馬が前脚を上げ、画面の斜め奥へ進む。騎手は体をひねり、こちら側を振り返っている。剣を振り上げているが、敵との勝敗は画面に示されない。馬の力強さと騎手の落ち着かない動きが重なり、戦闘のただ中の一瞬が伝わる。肖像のように一人を大きく描きながら、背景には煙と戦場の気配が広がる。
作品の見どころ
馬の胴体は明るい色で浮かび、黒い雲と地面がその動きを包む。上がった前脚、斜めに傾く馬の首、ひねった騎手の体を順に追うと、静かな立ち姿とは違う不安定さに気づく。剣だけを見ると英雄的だが、振り返る顔には先が見えない戦場の緊張もある。人物と馬が別々ではなく、互いの動きによって一つの形を作っている。
制作背景
ルーヴル美術館は1812年の作とし、同年のサロンに出品された記録を載せる。ナポレオン戦争を背景にした軍人画だが、実際の特定の戦闘場面を写した絵と決めつけない。この二年後の《負傷した胸甲騎兵》と並べると、同じ騎兵を主題にしても、勢いから退却へと視点が変わる。大画面で歴史を描こうとした若い画家の出発点である。
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《突撃する近衛騎兵士官》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程は法域で扱いが異なる可能性があります。
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この画家について本で読む
ジェリコー
中原たか穂 著 / KADOKAWA
画家ジェリコーと《メデューズ号の筏》の制作を描いた漫画。史実を確認する際は所蔵館の資料も参照できます。
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