働く馬と荷車を主題にした、英国滞在期のリトグラフ。
何が描かれているか
大きな車輪の荷車が、複数の馬に引かれて進む。積み荷は石炭で、人と馬が街の仕事を支えている。戦場の騎馬のような特別な出来事ではなく、重い荷を運ぶ日常の労働が主題だ。車輪、手綱、馬の脚を追うと、荷物を動かすのに多くの力が必要だと分かる。白黒の版画ながら、地面の起伏や空の明るさも伝わる。
作品の見どころ
馬の体が横一列に並ぶだけでなく、首の角度や脚の運びに違いがある。荷車の大きな車輪は、馬と人の大きさを測る目印にもなる。濃い線の集まる荷と馬体に対し、空や遠くの地面には白い余白が残る。色を使わず線と濃淡だけで重さを見せる点が、油彩画と違う面白さである。画面の左から右へゆっくり進む時間が感じられる。
制作背景
クリーブランド美術館は1821年制作のリトグラフとし、所蔵番号1983.237を示す。リトグラフは石版に描いた像から紙へ刷る方法で、同じ図を複数枚作れる。ジェリコーは英国滞在中に馬や街で働く人々を版画にも取り上げた。単なる油彩の下書きではなく、印刷物として広まる表現であることにも目を向けたい。
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《石炭を運ぶ荷車》/Cleveland Museum of Art Open Access
提供元のCC0 / Open Access 表示に基づき掲載。
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この画家について本で読む
ジェリコー
中原たか穂 著 / KADOKAWA
画家ジェリコーと《メデューズ号の筏》の制作を描いた漫画。史実を確認する際は所蔵館の資料も参照できます。
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