過去の医学的な題名を持つ、女性の一人像。
何が描かれているか
白い頭巾と暗い衣をまとった女性が、こちらに近い距離で描かれる。両目は正面に近いが、表情から何を考えているかは決められない。歴史的な題名には「賭博への偏執」を意味する言葉が含まれる。しかし絵から本人の病名や生活を診断することはできない。まず、顔の輪郭、頭巾の重なり、暗い服の中に浮かぶ肌を、一人の肖像として見たい。
作品の見どころ
強い光は額と頬、白い布へ当たり、背景や衣服は暗い。顔の細部と衣の大きな形を描き分け、視線が自然に人物へ集まる。表情を劇的な身振りで説明せず、静かな正面性に任せたところが独特だ。《メデューズ号の筏》の群像とは規模が違うが、人の顔を長く見つめる画家の関心が続いている。現代の目で題名をそのまま人物の本質と考えないことも大切だ。
制作背景
ルーヴル美術館は制作年を1819~1822年の幅で示し、所蔵番号をRF 1938 51とする。ジェリコーの晩年には、当時「モノマニー」と呼ばれた概念に関係する肖像が複数描かれた。この用語は19世紀の医学史に属し、現在の診断名に置き換えられない。どのような依頼で描いたかにも研究上の議論があるため、事実と解釈を分けて読む。
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《賭博への執着を示す女性の肖像》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程は法域で扱いが異なる可能性があります。
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この画家について本で読む
ジェリコー
中原たか穂 著 / KADOKAWA
画家ジェリコーと《メデューズ号の筏》の制作を描いた漫画。史実を確認する際は所蔵館の資料も参照できます。
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