馬を売買する市へ向かう場面を、版画の線で表す。
何が描かれているか
厩舎のような建物の前で、何頭もの馬が集まる。人は手綱を取り、別の馬は少し離れて立つ。題名から、馬たちが市へ向かう途中だと分かる。軍の馬とも競走馬とも違い、ここでは人の移動や商いに関わる動物として描かれている。一頭だけを主役にせず、複数の馬の向きと人の位置から、出発前のせわしない空気を作る。
作品の見どころ
手前の大きな馬は暗い線で形がはっきりし、奥の馬や建物は細かな濃淡に沈む。馬体の輪郭だけではなく、地面の影や建物の入口も、集団の位置を分かりやすくする。リトグラフならではの擦れたような調子が、毛並みや土の質感に合う。手前から奥まで順に馬を数えると、同じ動物でも姿勢が繰り返されていないことに気づく。
制作背景
メトロポリタン美術館は1821年のリトグラフと記録し、版画制作にチャールズ・ハルマンデル、出版にロドウェル&マーティンが関わったと示す。画家が描いた像を印刷し、見る人の手に届く形へした作品である。《石炭を運ぶ荷車》と並べると、英国滞在期に馬と人間の暮らしへ目を向けたことが見えてくる。
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《市へ向かう馬たち》/The Metropolitan Museum of Art Open Access
提供元のCC0 / Open Access 表示に基づき掲載。
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この画家について本で読む
ジェリコー
中原たか穂 著 / KADOKAWA
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