《メデューズ号の筏》に関わるモデルを、一人の人物として描いた習作。
何が描かれているか
暗い背景の前に男性の顔と胸が大きく現れる。短い髪、横を向く目、光を受ける額や頬が見える。ゲティ美術館は、このモデルをジョゼフと伝える。大勢を乗せた筏の絵とは違い、ここでは一人の存在に近づける。強い光の当たる肌と暗い背景の差が、表情へ自然に目を向けさせる。名前のあるモデルとして見つめたい作品である。
作品の見どころ
顔は真正面ではなく少し横へ向き、視線は画面の外へ続く。衣服と背景は暗めにまとめられ、頬や首に当たる光が人物の立体感を作る。細部まで均一に描き込むより、頭と肩の位置、肌の色の変化を確かめているように見える。大作を作るための習作でありながら、それ自体でも人の姿を集中して見る絵になっている。
制作背景
ゲティ美術館は1818~1819年頃の作とし、ジョゼフが《メデューズ号の筏》の制作に参加したモデルだったと説明する。同館はハイチ出身のモデルの生涯も調べている。ただし、完成作の特定の人物をこの習作と完全に同一視するには注意が要る。習作と大作を並べると、画家が個別のモデルを観察しながら歴史画を組み立てたことが分かる。
作品情報
所蔵
J・ポール・ゲティ美術館(85.PA.407)
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《モデルのジョゼフの習作》/Wikimedia Commons
提供元のCC0 / Open Access 表示に基づき掲載。
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