煙と土、働く馬を暗い色でまとめた晩年の風景画。
何が描かれているか
斜面にある建物から煙が上がり、手前には荷車と馬が集まる。題名にいう石膏焼き窯は、材料を熱して建築などに使う石膏を作る場所である。人物は小さく、仕事の場全体が主役になる。明るい観光地の景色とは違い、土、煙、重い荷を運ぶ動物が目に入る。画家が馬を描き続けながら、晩年には労働の場所とも結び付けたことが分かる。
作品の見どころ
斜面の斜めの線が建物と荷車をつなぎ、煙の白さは黒い空に強く浮かぶ。地面も馬も茶色や灰色に寄せられ、画面には湿った重さがある。窯の入口の光や馬の背を順に見ると、暗い絵の中でも働く場所の細部が見えてくる。《石炭を運ぶ荷車》の版画と並べれば、油彩と白黒の線という手段の違いも楽しめる。
制作背景
ルーヴル美術館は1822~1823年頃の作、所蔵番号INV 4888と記録する。画家は1824年に亡くなったため、この絵は生涯の終わりに近い作品である。軍人の騎馬像で注目を集めた初期から、働く馬や煙のある風景へ主題が広がったことを示す。特定の労働者の生活を語る資料としてではなく、目に見える仕事の場をどう絵にしたかを考えたい。
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《石膏焼き窯》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程は法域で扱いが異なる可能性があります。
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この画家について本で読む
ジェリコー
中原たか穂 著 / KADOKAWA
画家ジェリコーと《メデューズ号の筏》の制作を描いた漫画。史実を確認する際は所蔵館の資料も参照できます。
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