ローマの祭りの競走を調べた、速い筆づかいの習作。
何が描かれているか
ローマの通りを馬が駆け、人々が馬を追うように動く。題名にいう「騎手のいない競走」は、カーニバルで行われた馬の競走を指す。建物の窓や柵のそばにも見物人が集まり、動物と群衆の勢いが一つの場面になる。完成した大作の細部というより、速さや人の密集を絵の中で試した油彩習作として見ると、画家の考えが伝わる。
作品の見どころ
奥へ伸びる道と手前の馬の動きが交差し、視線は画面の中をすばやく移る。細部を均等に仕上げず、馬体や人々の集まりに筆を重ねたことで、騒がしさが残る。建物の直線は、動物の不規則な動きをいっそう際立たせる。馬を正確に描くだけでなく、群衆が見つめる出来事として競走を組み立てた点が面白い。
制作背景
ウォルターズ美術館は1817年のローマ滞在期の作とし、同主題の大作を構想するために約二十点の油彩習作を描いたと説明する。計画した巨大な絵は完成しなかったため、この一枚を完成作品の縮小版とは呼べない。実際の祭りを見た経験と、古代的な競技への想像が交わる主題だった。後の騎馬画にも続く、馬への長い関心が見える。
出典・画像について
画像:Théodore Géricault《ローマの騎手のいない競走馬》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程は法域で扱いが異なる可能性があります。
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