1485年
36歳頃

羊飼いの礼拝

画家 ドメニコ・ギルランダイオ
The Adoration of the Shepherds / サンタ・トリニタ聖堂サセッティ礼拝堂
古代の石棺と廃墟を使い、キリスト誕生を古い世界の転換として描いた。

何が描かれているか

聖母マリアが地面にひざまずき、石の飼い葉桶の前に置かれた幼子おさなごキリストへ祈る。聖ヨセフは少し後ろに座り、右から三人の羊飼いが顔を寄せて礼拝する。
飼い葉桶は古代ローマの石棺を再利用した形で、背後には崩れた建築と凱旋門が立つ。遠い道を東方三博士とうほうさんはかせの一行が進み、町と山まで細かな風景が続く。

作品の見どころ

幼子の誕生を新しい時代の始まりとして、壊れた古代建築の前へ置く。石棺は死を思わせる器でもあり、誕生の喜びに将来の受難と復活を重ねている。
羊飼いの顔は理想化せず、日焼けや年齢の違いを細かく描く。画家自身とされる羊飼いもこちらを指さすが、自画像の同定は伝承を含むため、可能性として見る。

制作背景

1485年、フランチェスコ・サセッティの礼拝堂祭壇のために制作された。周囲の壁画は聖フランチェスコ伝で、板絵はその中心に置かれ、注文者一族の墓と向き合った。
古代の石棺に刻まれた文字や建築は、異教世界からキリスト教世界への移行を示す。北方絵画を思わせる羊飼いの写実と、フィレンツェの遠近法えんきんほうを一画面へ組み合わせた。

作品情報

材質・技法
テンペラ、板
所蔵
サンタ・トリニタ聖堂サセッティ礼拝堂
位置づけ
古代遺跡、ローマ風の石棺、北方絵画を思わせる羊飼いを、礼拝堂の祭壇画さいだんがへまとめた。

出典・画像について

画像:Domenico Ghirlandaio羊飼いの礼拝》/羊飼いの礼拝 — Domenico Ghirlandaio / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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この画家について本で読む

イタリア・ルネサンス美術館
松浦 弘明 著 / 東京堂出版
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