何が描かれているか
ジョヴァンナ・デッリ・アルビッツィ・トルナブオーニが左向きの厳格な横顔で立つ。金髪を編み、真珠、宝石、刺繍のある衣を着け、両手を身体の前で静かに重ねる。
背後の棚には龍をかたどる宝飾、赤い珠の祈りの道具、祈祷書、ラテン語の銘文が置かれる。人物と持ち物を同じ平らな壁の前に並べ、記憶の品として整える。
作品の見どころ
横顔は古代の記念メダルのように輪郭を保ち、感情を大きく動かさない。代わりに首飾り、袖、髪、祈祷書が、公的な地位と私的な信仰を少しずつ語る。
技術調査では首や衣の下描きに変更が見つかった。完成像は自然な一瞬を写したものではなく、形と持ち物を慎重に選び直して作られた記念肖像だと分かる。
制作背景
ティッセン=ボルネミッサ美術館は1489〜1490年、板の混合技法として所蔵する。人物はニッコロ・フィオレンティーノの肖像メダルと、礼拝堂壁画の姿から同定された。
ジョヴァンナは1488年、出産時に亡くなった。作品を死後の肖像とする見解が有力だが、壁画より前の構想とする説もあったため、制作の順序を完全に確定したとは言わない。