何が描かれているか
キリストと十一人の使徒が横長の食卓の向こう側に並び、ユダだけが手前の低い椅子へ座る。ヨハネはキリストの胸元へ寄り、ほかの使徒は言葉に驚いて互いに顔を向ける。
背後の柱廊から果樹の庭と空が見え、鳥が枝や空を飛ぶ。食卓にはパン、果物、水差し、透明な器が整然と並び、修道院の現実の食事を思わせる細部がある。
作品の見どころ
壁の柱と実際の食堂建築をそろえ、部屋が絵の奥へ続くように見せる。修道士が食事をするとき、キリストと使徒の食卓が同じ空間にあるように感じられる仕組みである。
人物は横一列だが、手、顔、身体の向きを変えて反応を描き分ける。ユダを反対側へ置く伝統的な配置により、静かな庭と整った食卓の中へ裏切りの隔たりが生まれる。
制作背景
作品はフィレンツェのオンニサンティ修道院の食堂に描かれ、ギルランダイオの作家解説では1480年の壁画とされる。修道士が毎日食事をする場所に最後の晩餐を重ねた。
フィレンツェ市の文化案内にも現地の主要作品として記録される。制作年を1488年とする同案内ページもあるが、所蔵作家資料と一般的な目録に従い本文では1480年とし、記録差を残す。