何が描かれているか
身ごもった聖母マリアと年上のエリサベトが中央で抱き合い、互いの肩と腕へ手を回す。左右には若い女性たちが立ち、静かな出会いを目撃する。
背後には古代風の柱とアーチがあり、その間から城壁の町、道、山が見える。鮮やかな赤、青、橙の衣を建築の垂直線へ重ね、中央の抱擁を大きく見せる。
作品の見どころ
二人の身体を一つの山形にまとめ、顔を画面中心で近づける。周囲の女性が横向きに立つため、中央の曲線と触れ合う手がはっきりし、私的な喜びが記念碑のように見える。
遠景へ抜けるアーチは開放感をつくる一方、前景の人物を石の枠で囲む。肖像画で磨いた横顔と衣装の表現を、宗教物語の複数人物へ広げた画面である。
制作背景
ルーヴル美術館が所蔵する晩年の板絵で、1491年の制作として知られる。聖母の訪問は、マリアが親族エリサベトを訪ね、互いの妊娠を喜ぶ聖書の場面である。
ギルランダイオはトルナブオーニ礼拝堂にも同主題を描いた。本作と壁画は人物配置や注文目的が異なるため、一方をもう一方の単純な縮小版とは見なさない。