1480〜1490年頃
30代後半頃

赤い服の若者の肖像

画家 ドメニコ・ギルランダイオ
Portrait of a Young Man in Red / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
身体を斜めに向けた若者の目線から、近代的な肖像の親しさが生まれる。

何が描かれているか

黒い帽子と赤い上着を着た若い男性が、身体を少し斜めにしながら顔をこちらへ向ける。暗い背景には家具や風景を置かず、白い襟、肌、赤い布だけが浮かぶ。
人物は胸の下まで描かれ、手や身分を示す品は見えない。わずかに閉じた口とまっすぐな目線が、名前の分からない若者の姿を近い距離で保っている。

作品の見どころ

横顔だけを見せる従来の肖像より顔の面積が広く、左右の目、鼻、口の関係を読み取りやすい。四分の三面像によって、記念メダルのような型から対面する人物へ近づいた。
背景を暗くしたため、帽子の輪郭りんかくは一部が溶け、顔と赤い衣が前へ出る。装飾品で地位を語るより、肌の陰影と視線から個人の存在を感じさせる。

制作背景

ナショナル・ギャラリーは1480〜1490年頃のギルランダイオ作として所蔵する。人物の名前は分かっておらず、題名は服の色と年齢の印象を示す記述的なものにとどまる。
ルネサンス肖像では個人の外見だけでなく、地位や徳を示すことも重視された。本作は持ち物を減らし、四分の三面の顔そのものへ注意を集める点に特徴がある。

作品情報

材質・技法
テンペラ、板
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
位置づけ
横顔より多くの表情を見せる四分の三面像で、15世紀後半の肖像形式の変化を示す。

出典・画像について

画像:Domenico Ghirlandaio赤い服の若者の肖像》/赤い服の若者の肖像 — Domenico Ghirlandaio / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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この画家について本で読む

イタリア・ルネサンス美術館
松浦 弘明 著 / 東京堂出版
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