子を抱く母とロバ、先を行くヨセフ。岩山の前を進む一行の動きを追えます。
何が描かれているか
マリアが幼いキリストを抱いてロバに乗り、その前をヨセフが歩く。左からは若い人々が続き、空には進む方向を示すように天使が浮かぶ。中央の大きな岩山が、一行の後ろにそびえている。
題材は、ヨセフが天使の知らせを受け、マリアと子を連れてエジプトへ逃れる物語である。長い旅の全行程ではなく、家族と同行者が同じ方向へ歩く一場面にまとめられている。
作品の見どころ
まずロバの足と首を見てから、背に乗る母子へ目を移したい。足は前へ進むが、母の上半身はまっすぐに保たれている。動く動物と静かな母子を重ねることで、旅の途中の姿が見えてくる。
岩山の頂点は母子のほぼ上にあり、広い斜面が人物を囲む。空や地面を細部で埋めず、一行の輪郭を読みやすくしている。
制作背景
1303〜1305年頃に描かれたスクロヴェーニ礼拝堂の壁画の一場面で、キリストの幼年期に属する。所蔵館は、岩山と母子が作る三角形のまとまりを、この場面の構成として説明している。
色の抜けはそのまま残している。制作当初の状態と決めつけず、人物の向き、足の運び、手の位置から、家族が移動する様子を読んでみたい。
出典・画像について
制作年は壁画群の1303〜1305年頃という範囲。各場面の厳密な年・制作順は確定しない。
画像:Giotto di Bondone《エジプトへの逃避》/エジプトへの逃避 — Giotto di Bondone / Web Gallery of Art / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
イタリア・ルネサンス美術館
松浦 弘明 著 / 東京堂出版
ジョット、ドゥッチョ、マザッチョからフィリッポ・リッピ、ギルランダイオ、盛期ルネサンスまで、作品を制作年代順にたどる専門的な鑑賞ガイドです。
楽天ブックスで見る →