何が描かれているか
亡くなったキリストの身体を聖母マリアが抱き、弟子や女性たちが取り囲む。前景には背を向けて座る人物も置かれ、鑑賞者と聖母の間に深さを作っている。
空では天使たちが身をよじり、下の人々と同じ悲しみを示す。右上から左下へ落ちる岩山の線は、木の立つ高所からキリストの顔へ視線を導く。
作品の見どころ
人物は同じ悲しみを一様に表さない。顔を近づける者、腕を広げる者、黙って立つ者、背を向ける者がいて、見る人は反応の違いを順に読むことができる。
画面中央を空けず、身体を重ねて悲しみの密度を上げる。それでも岩山の斜線と人物の視線がキリストへ集まるため、混雑せず、どこを見るべきかが明快である。
制作背景
スクロヴェーニ礼拝堂の受難伝に含まれ、磔刑後にキリストを悼む場面を描く。連作の中では死の直後の静止した時間にあたり、前後の激しい出来事とは異なる速度を持つ。
背景の金地を完全には捨てていないが、岩山、樹木、人物の前後関係によって場面を一つの地上空間へまとめた。感情表現と空間構成が別々でなく、互いを強める点が見どころである。