母が子へ顔を近づけ、羊飼いは天使を見上げる。小さな動作が誕生の物語をつなぎます。
何が描かれているか
岩山の前の小屋で、マリアが生まれたキリストへ身をかがめている。左には子を支える女性と牛、ロバが見え、下ではヨセフが座る。右の羊飼いたちは、上空の天使の方へ顔を向けている。
ここでいう降誕は、キリストの誕生を描く宗教画の主題である。母子を囲む人々だけでなく、家畜や羊も一緒に置かれている。誕生が、寝床と身近な生き物を通して示される。
作品の見どころ
マリアの長い身体から、子へ伸ばした両手を追いたい。母と子の顔は近く、羊飼いの視線は上へ向かう。違う方向のまなざしがあるため、誕生の場面をたどれる。
小屋の水平な屋根と、岩の斜面を見比べると、母子の居場所が浮かび上がる。天使の傾いた身体や、手前の動物の重なりも、平らな壁に奥行きを感じさせる手掛かりになる。
制作背景
スクロヴェーニ礼拝堂のキリストの生涯を描く壁画群に属し、1303〜1305年頃の制作である。湿った漆喰に色を置くフレスコ画で、聖母の物語から続いてキリストの誕生を語る。
所蔵館は、古くからの図像を受け継ぎながら、人物同士の情愛を表した点に注目している。母の動きからも、その点を感じられる。
出典・画像について
制作年は壁画群の1303〜1305年頃という範囲。各場面の厳密な年・制作順は確定しない。
画像:Giotto di Bondone《キリストの降誕(スクロヴェーニ礼拝堂)》/キリストの降誕(スクロヴェーニ礼拝堂) — Giotto di Bondone / Web Gallery of Art / Wikimedia Commons
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