ひざまずいて手を伸ばすマリアと、立ち去るキリスト。二人の間に残る距離を見てみたい。
何が描かれているか
左の墓には天使が座り、その下で兵士たちが眠っている。右では、マグダラのマリアがひざまずいてキリストへ両手を伸ばす。白い衣のキリストは旗を持ち、右へ進みながら彼女に手を向ける。
『ヨハネによる福音書』の物語である。「ノリ・メ・タンゲレ」は「私に触れるな」と訳される呼び名で、出会いと同時に二人の隔たりが示される。
作品の見どころ
まずマリアの指先とキリストの手の間を見たい。二人の身体は近づきそうでも、足の向きは違う。マリアの止まった姿とキリストの進む姿が、触れようとする動きと離れる動きを対照させる。
左の兵士は身体を横たえ、頭を傾けている。右の二人の動作と見比べると、静止と移動が同居する。墓から続く岩の斜めの輪郭も、右の人物へ目を導く。
制作背景
スクロヴェーニ礼拝堂の1303〜1305年頃の壁画で、受難と死の後に置かれる。所蔵館は、墓を訪れたマリアと天使のやり取り、キリストとの再会という二つの出来事を一画面に表したと説明する。
左の墓から右の再会へと物語を追いたい。赤と白の衣、眠る人と手を伸ばす人の違いが、登場人物を見分ける手掛かりになる。
出典・画像について
制作年は壁画群の1303〜1305年頃という範囲。各場面の厳密な年・制作順は確定しない。
画像:Giotto di Bondone《復活(ノリ・メ・タンゲレ)》/復活(ノリ・メ・タンゲレ) — Giotto di Bondone / Web Gallery of Art / Wikimedia Commons
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
イタリア・ルネサンス美術館
松浦 弘明 著 / 東京堂出版
ジョット、ドゥッチョ、マザッチョからフィリッポ・リッピ、ギルランダイオ、盛期ルネサンスまで、作品を制作年代順にたどる専門的な鑑賞ガイドです。
楽天ブックスで見る →