1780年
33〜34歳頃

十字架のキリスト

画家 フランシスコ・デ・ゴヤ →
Christ Crucified / プラド美術館
既存の《サトゥルヌス》と比べると、同じ身体の主題でも、輪郭りんかくや光の置き方は大きく違う。

何が描かれているか

暗い空間に十字架とキリストの身体が浮かぶ。頭を上へ向け、両腕を左右へ伸ばし、白い腰布を着けている。足元まで見せる縦長の構図こうずには、周囲の群衆や物語の舞台が描かれない。
画面の中心になるのは、明るい肌と、その外側の暗さである。腕から胸、腹、脚へとつながる身体の形を、見る人が順に追える。悲劇の出来事を描きながら、流血の激しさより身体のまとまりが目に入る。

作品の見どころ

既存の《サトゥルヌス》と比べると、同じ身体の主題でも、輪郭や光の置き方は大きく違う。この一枚を加えることで、ゴヤを晩年の恐ろしい絵だけで理解せず、宗教画と人体表現の学習から見ることができる。
プラド美術館は、17世紀スペインの宗教画の伝統と、メングスやバイユーに通じる古典的な美の影響を指摘する。これらは館の解釈であり、ゴヤのすべての宗教画が同じ様式だという意味ではない。

制作背景

ゴヤは1780年、この作品をサン・フェルナンド王立美術アカデミーに提出し、正会員として認められた。現存する初期の宗教画を通して、公的な評価を得ようとする画家の仕事を見る。
油彩ゆさいでカンヴァスに描かれた作品で、現在はプラド美術館にある。戦争の版画はんがや私的な幻想画へ進む前に、注文や制度の中で磨いた、整った人体の表現も押さえておきたい。

作品情報

材質・技法
油彩、カンヴァス
所蔵
プラド美術館
位置づけ
宗教画とアカデミーへの提出作品。

出典・画像について

出典:プラド美術館《十字架のキリスト》(2026-10-04 確認)
画像:Francisco de Goya《十字架のキリスト》/Wikimedia Commons
画像の出典 / Commons Public domain(個別PD-Art/PD-old表示)(画像情報:2026-10-04 確認)
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