1770–1771年
24〜25歳頃

アルプスから初めてイタリアを望む勝利者ハンニバル

画家 フランシスコ・デ・ゴヤ
Aníbal vencedor que por primera vez mira a Italia desde los Alpes / プラド美術館(マドリード)
白い衣と甲冑を着けたハンニバルが右手を上げ、背後に軍勢が続く。後の宮廷肖像や《黒い絵》とは大きく異なる、イタリア修業期の歴史画である。まず中央の明るい人物と、その奥へ連なる旗、馬、象を追いたい。

何が描かれているか

ハンニバルは画面中央で身体をひねり、遠くを見るように顔を上げる。
背後には翼のある人物、旗を持つ兵士、騎馬、象が重なり、長い移動の先に軍が山を越えてきたことを示す。手前の赤褐色かっしょくの人物と左奥の軍勢が、明るい中心人物を挟んでいる。

作品の見どころ

ここでの主役は一人の肖像ではなく、古代史の出来事を担う英雄である。人物、動物、雲、風になびく布を一画面へ組み込み、大きな物語を読ませようとしている。
後年のゴヤを暗い画面の画家としてだけ覚えず、まず歴史画の競技へ挑んだ若い時期から出発できる一枚である。まず白い衣のハンニバルを見て、掲げた腕の先から旗、騎馬、象へ奥へ進むと、単独の英雄像ではなく軍を伴う歴史画だと分かる。手前と奥の縮尺の差が、越えてきた距離を想像させる。

制作背景

作品はカンヴァスに油彩ゆさい、88×132センチで、プラド美術館が目録番号P00753として所蔵する。1771年4月、パルマ美術アカデミーの競技へ出品されたが、一等には選ばれなかった。
完成された巨匠きょしょうの予告として持ち上げるより、国際的な評価の場へ挑戦していた若い画家の現在地として見る。

作品情報

寸法
88 × 132 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩
所蔵
プラド美術館
目録
P00753

出典・画像について

出典:Fundación Goya en Aragón 作品ページ2026-09-08 確認)
画像はWikimedia CommonsのPD-Art複製です。忠実複製の扱いには法域差があります。
画像:Francisco de Goyaアルプスから初めてイタリアを望む勝利者ハンニバル》/Francisco de Goya, Museo Nacional del Prado, via Wikimedia Commons.
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(法域注意)(画像情報:2026-09-08 確認)
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