1810年(所蔵館の制作年代)
63〜64歳頃

戦争の惨禍(第30図)

画家 フランシスコ・デ・ゴヤ →
Estragos de la guerra / メトロポリタン美術館
《1808年5月3日》が処刑する者とされる者を向かい合わせるのに対し、この図では人や物が折り重なっている。

何が描かれているか

壊れた建物の中に、人々の身体と家具が重なっている。上から下へ落ちるような斜めの線が走り、床や壁の安定した形は失われている。戦場の遠景ではなく、災害の内部に入り込んだような構図こうずである。
これは版画はんが集『戦争の惨禍』の第30図である。メトロポリタン美術館は、爆発と建物の崩壊、母子の姿を説明する。掲載する刷りには下端の題名が見えないため、題名は所蔵館の目録から示している。

作品の見どころ

《1808年5月3日》が処刑する者とされる者を向かい合わせるのに対し、この図では人や物が折り重なっている。誰が何をしたかを整理する余裕さえ失う、破壊の状態を見比べられる。
白く残した部分と、線を重ねた暗部の間を視線が移る。倒れた身体の方向を追うと、狭い室内が落ち着いて見える場所を失っていると分かる。「現場を見た」かのような迫力と、実際の目撃の証明は区別しておく。

制作背景

制作年代は、掲載画像を所蔵するメトロポリタン美術館の1810年を採った。別の刷りを持つプリンストン大学美術館は、版の制作を1808/1809〜1812年、自館の刷りを1863年と記載する。
版画集はゴヤの生前には刊行されず、最初の刊行は1863年だった。ただし、別の所蔵館の紙の刷り年を、この掲載画像にも当てはめない。原版を作った時期と、一枚の紙を刷った時期を分けて見る。

作品情報

材質・技法
エッチング、ドライポイント、ビュラン、バーニッシャー
所蔵
メトロポリタン美術館
位置づけ
戦争の惨禍第30図。

出典・画像について

画像:Francisco de Goya《戦争の惨禍(第30図)》/The Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / Public Domain / Open Access / CC0(画像情報:2026-10-04 確認)
所蔵館の個別Public Domain/Open AccessによるCC0。原版と掲載刷りの年代を区別。取得JPEG無変更、等比縮小のみ。
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