騎馬兵と民衆が近距離で入り乱れ、馬、武器、倒れた身体が画面を埋める。どちらか一人の英雄を中心にせず、攻撃と抵抗が同時に起きる混乱を集団の動きで見せる。《5月3日》と続けて見ると、戦闘と処刑という暴力の違いが分かる。
何が描かれているか
中央では白い馬が大きく身をよじり、その周囲で人々が腕と武器を振り上げる。
左奥まで騎馬と群衆が続き、足元には倒れた人々が重なる。視線を止める静かな場所が少なく、斜めの身体と武器が四方へ向かう。
作品の見どころ
戦争画を勝者の記念碑にせず、誰が誰を攻撃しているか一度では整理できないほど近い距離で描いている。
馬の白、赤い衣服、金属の反射は華やかな色にも見えるが、倒れた身体と結び付くことで混乱を強める。中央の白い馬を起点に、斜めへ伸びる腕と武器、足元の倒れた身体へ視線を動かすと、画面に安定した中心がないことが分かる。その読みにくさ自体が、接近戦の混乱を伝えている。個々の顔より、群衆全体の方向の乱れを先に見るとよい。
制作背景
カンヴァスに油彩、268.5×347.5センチで、プラド美術館が目録番号P000748として所蔵する。
出来事から6年後の1814年、ゴヤの提案を摂政会議が認めて《5月3日》と一組で制作された。その場の写生ではなく、後から構成された歴史画として見る。