何が描かれているか
羽飾りのある帽子をかぶった若者が、片腕を高く上げて杯を示す。後ろの女性は彼の肩に手を置き、二人の顔は近い。背景には宿屋のような空間が広がり、飲食を楽しむ一場面に見える。かつて特定の若者の名前を当てた呼び名もあったが、メトロポリタン美術館は現在、人物を確定した肖像として扱っていない。目の前の身振りを楽しむ人物画として見るのがよい。
作品の見どころ
上へ伸びる腕から二人の顔へ目を戻すと、絵の中の動きが感じられる。明るい袖や襟は暗い背景から浮かび、若者の笑みと女性の表情に視線を集める。絵の手前に差し出されたような手と杯は、見る人を場面へ誘う。細かく整った顔の描写と、勢いよく置かれた色の違いも、近づいて見ると楽しい。
制作背景
ハルスは1620年代に、笑う人や酒を飲む人など、一瞬の表情が印象的な人物画を数多く描いた。この絵も、誰かの結婚記念や正式な肖像と決めつけず、宿屋の場面として伝わる。所蔵館は1623年とする。日常の陽気さを、人物を画面近くへ引き寄せる構図で見せた作品である。
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この画家について本で読む
レンブラントとフェルメール オランダ絵画「光と影」の巨匠たち
岡部昌幸 著 / KADOKAWA
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