何が描かれているか
黒い服と白い襟の女性たちが、暗い部屋の中に並ぶ。フランス・ハルス美術館によれば、四人の女性理事に加えて施設の家政を担った女性が描かれている。机には帳簿が置かれ、彼女たちが養老院の運営を担ったことを示す。全員が同じ方向を見るのではなく、それぞれ違う表情と姿勢を持つ。晩年のハルスが描いた大きな集団肖像の一つである。
作品の見どころ
白い襟と顔が暗い衣や背景から浮かび、一人ずつの表情を見分けられる。手元の帳簿を見てから顔へ目を戻すと、公的な役割と個人の存在が結び付く。初期の市民隊の宴席とは違い、動きや色は抑えられている。それでも人物の間隔と視線の違いが、静かで張りつめた空気をつくる。晩年の自由な筆の跡にも注目したい。
制作背景
所蔵館の現行作品記録は制作を1660年頃とする。一方、展覧会や研究の説明では1664年とされることもあるため、年を一つに固定しすぎない。養老院の男性理事を描いた対になる作品もハルスの作である。二つを見比べると、似た役割を担う集団でも、人物の置き方と画面の雰囲気が違うことが分かる。