「ほかの全部を殺してしまう」。弟テオへの手紙で、ゴッホはこの絵をそう呼んだ。並べたら他が見えなくなる、という意味である。自分の絵をここまで言い切ることは、彼には多くない。日陰のない麦畑に何日も出たまま、1週間と少しで油絵10枚と素描5枚を仕上げた。その猛烈な時期は、嵐で収穫が終わると、そこでぷつりと止まっている。35歳の夏だった。
何が描かれているか
刈り取りの途中の麦畑が、地平線まで平らに広がっている。梯子が立てかけられ、荷車が何台も止まり、奥では1人が鎌を振るっている。
空は淡い青、大地は黄と緑。ゴッホはこの取り合わせで、南フランスの夏の日の乾いた暑さそのものを画面に入れようとした。見ていると喉が渇いてくる種類の絵である。
作品の見どころ
ゴッホ自身がこれを、最も上手くいった絵のひとつと考えていた。弟テオへの手紙では、もっと直接にこう書いている。この絵は「ほかの全部を殺してしまう」。並べて掛けたら他の絵がかすんでしまう、という画家の言い回しである。自分の絵にこれほど強く出た言い方は、彼には多くない。
アルルに着いて数か月、彼は燃えるような日差しの下で何日も麦畑にいた。1週間と少しのあいだに、油絵10枚と素描(線で描いた絵)5枚を仕上げている。この猛烈な時期は、激しい嵐が来て収穫の季節が終わったところで、ぷつりと止まった。
制作背景
1888年6月、35歳。南フランスのアルルに移って数か月後に描かれた。
日差しは強く、畑に日陰はない。ゴッホは麦畑に出たまま、何日も描き続けた。この絵の乾いた空気は、そういう描き方から出ている。