笑いかけたのか、声を出した途中なのか。名前もはっきりしない女性の、その一瞬だけが素早い筆でつかまえられています。
何が描かれているか
大きな籠を頭に載せた、エビ売りとされる女性の半身像です。頬は赤く、口元が開き、目は横へ向いています。服や背景は大きな筆触のまま残り、顔へ視線が集まります。
作品の見どころ
薄い絵具や地塗りを残した筆跡は、近づくとばらばらに見え、少し離れると頬や布の形にまとまります。滑らかに塗り込めない描き方が、一瞬の表情を軽やかに伝えているようです。口元を笑顔とも別の感情とも決めずに眺めると、動いている人に出会ったような近さがあります。
制作背景
館は1740〜1745年頃としています。当時ロンドンでは、貝やエビを売り歩く女性が多くいましたが、この人物の名前は分かっていません。社会の役割を示す題名の奥に、一人の顔の取り替えられない表情が残っています。
出典・画像について
画像:William Hogarth《エビ売りの娘》/エビ売りの娘 — William Hogarth / Wikimedia Commons / Public Domain Mark 1.0
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