何が描かれているか
若い法律家ボニファキウス・アーメルバッハが、暗い青緑の背景の前で斜めを向く。長い髪に黒い帽子をかぶり、黒い衣と毛皮の襟を重ねている。
画面にはアーメルバッハの名、年齢、制作年に関わる銘文が置かれる。顔だけでなく、文字と衣服によって、誰をいつ描いた肖像かを記録する。
作品の見どころ
顔、帽子、毛皮、銘文を小さな画面へ密に収める。若い法律家を、個人の容貌と学識の両方で記憶させる肖像であり、視線は静かでも情報量が多い。
輪郭ははっきりしているが、頬と目元には薄い陰影がある。黒い帽子と衣が顔を囲み、毛皮の細かな質感が、平らな背景と生身の人物を分ける。
制作背景
バーゼル市立美術館は1519年作として所蔵する。アーメルバッハは法律家で、父やエラスムスとともにバーゼルの人文主義文化を支えた人物である。
この肖像はアーメルバッハ家の収集に入り、のちに市が取得したアーメルバッハ・キャビネットの一部となった。作品は一人の記録であると同時に、バーゼルの公共コレクション形成にもつながる。