1538年
40〜41歳

デンマーク王女クリスティーナの肖像

画家 ハンス・ホルバイン(子)
Christina of Denmark, Duchess of Milan / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
黒い喪服を大きな形として見せ、顔と手だけに小さな明るさを集める。結婚交渉のための記録が、強い全身像になった。

何が描かれているか

デンマーク王女でミラノ公爵未亡人のクリスティーナが、青緑の背景の前に全身で立つ。黒い喪服と帽子を着け、白い襟とそで口、赤い手袋だけが小さく明るい。
身体はわずかに斜めを向き、両手を腰の前で重ねる。長い黒い衣が床まで一つの形として落ち、顔と手の距離を大きく広げている。

作品の見どころ

黒い喪服を大きな形として見せ、顔と手だけに小さな明るさを集める。結婚交渉のための記録が、余白と全身の輪郭りんかくによって強い人物像になった。
背景には宮殿も家具もない。床と壁の境だけが場所を示すため、鑑賞者は身長、姿勢、手袋、表情を直接比較できる。情報を減らすことが存在感を強めている。

制作背景

1538年、ヘンリー8世は次の結婚候補を探し、宮廷画家ホルバインをブリュッセルへ派遣した。記録によれば、画家がクリスティーナと対面して素描そびょうする時間は約3時間だった。
ナショナル・ギャラリーは作品に署名はないものの、ホルバイン作であることは広く認められていると説明する。結婚は成立しなかったが、肖像は交渉のための像を超えて残った。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい、オーク板
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
位置づけ
ヘンリー8世の結婚候補を記録するため、ホルバインがブリュッセルで描いた。制作のための対面は約3時間だったと記録される。

出典・画像について

画像:Hans Holbein the Youngerデンマーク王女クリスティーナの肖像》/デンマーク王女クリスティーナの肖像 — Hans Holbein the Younger / Wikimedia Commons / National Gallery, London
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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