1521〜1522年
23〜25歳

墓の中の死せるキリスト

画家 ハンス・ホルバイン(子)
The Dead Christ in the Tomb / バーゼル市立美術館
細長い枠が墓の狭さを身体へ押しつける。理想化を避けた傷、手、目、口が、死を抽象的な記号にしない。

何が描かれているか

キリストの遺体が、石の墓を思わせる細長い空間に横たわる。頭は右を向き、口と目がわずかに開き、手足には磔刑たっけいの傷が残る。
背景や他の人物はほとんどなく、身体が画面の端から端まで伸びる。足元の壁には石を刻んだように見える年記と、ホルバインの頭文字が描かれる。

作品の見どころ

細長い枠が墓の狭さを身体へ押しつける。理想化を避けた傷、手、目、口が、死を抽象的な記号にせず、時間を経た身体として見せる。
ほぼ横一線に置かれた身体に対し、胸、腰、膝、足先には小さな高低差がある。顔だけでなく、指と足の変色まで見ると、観察の厳しさが全身へ及んでいる。

制作背景

バーゼル市立美術館は1521〜1522年の制作として扱う。赤外線調査とX線撮影により、年記は当初1522だったが、制作中に最後の数字が消され1521へ直されたことが分かった。
同館は、依頼主がボニファキウス・アーメルバッハだった可能性を示すが、確定とはしていない。元の用途も含め、不明点を残したまま作品の特殊な形式を見る必要がある。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい・テンペラ、板
所蔵
バーゼル市立美術館
位置づけ
極端に横長の画面へ死後の身体をほぼ等身大で置く。技術調査は、年記が制作中に1522から1521へ直されたことを示す。

出典・画像について

画像:Hans Holbein the Younger墓の中の死せるキリスト》/墓の中の死せるキリスト — Hans Holbein the Younger / Wikimedia Commons / Kunstmuseum Basel
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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