何が描かれているか
ヘンリー8世の息子エドワードが、赤と金の豪華な衣装を着て正面から立つ。片手は笏を持ち、もう一方は祝福するように手のひらをこちらへ向ける。
幼い顔の下には大きな衣が広がり、緑の布を掛けた縁の前に置かれる。画面下のラテン語詩は、父にふさわしい後継者になるよう王子へ呼びかける。
作品の見どころ
一歳ほどの幼児を、正面向き、笏、祝福する手で王位継承者として表す。身体の幼さと政治的な期待が同居し、実際の年齢より堂々とした型が選ばれている。
赤、金、緑の強い色と、正面性が王子を画面中央へ固定する。それでも丸い頬と小さな指は幼児の特徴を残し、象徴だけの人物にはしていない。
制作背景
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)は1538年頃、板に油彩として所蔵する。王子は1537年生まれで、本作は1539年1月1日にホルバインからヘンリー8世へ贈られた肖像と考えられる。
個人の子ども肖像が一般的でなかった時代、王子は王朝の継続を示すために描かれた。正面向きと祝福の手は、王族や聖なる人物に用いられる形式を幼児へ与えている。