何が描かれているか
イングランド王ヘンリー8世が、装飾の多い衣と帽子を身につけ、正面に近い向きで姿を見せる。背景は青く、広がった肩の下に両手が置かれる。服の切れ込み、宝石、金の模様が細かく描かれている。
顔は画面の上方へ収まり、両手は下方に広く離れる。顔だけを眺めるより、肩の幅と手の位置も一緒に見ると、身体が画面を占める強さが分かる。
作品の見どころ
青い背景には物がほとんどなく、服の細かな装飾が目につく。遠くからは肩と胸の大きな形を、近くからは衣や宝石の線を読むという、二つの見方ができる。
所蔵館が記録する寸法は縦28cm、横20cm。等身大の肖像ではない。小さな画面を隙間なく満たす配置が、描かれた人物を大きく感じさせる点を見たい。
制作背景
ティッセン=ボルネミッサ美術館は1537年頃、板に油彩として所蔵する。館の解説は、王の顔や衣を、ホルバインがホワイトホール宮殿のために描いた壁画と関連づけている。
その宮殿壁画自体は1698年に失われた。ここに載せるのはマドリードに残る小型の板絵で、失われた壁画の全体図でも、後世の全身像の複製でもない。よく知られた王の図像を、作品の形式と所蔵先を区別して紹介する。