何が描かれているか
白い毛皮帽と白い肩掛けの女性が、青い背景の前で斜めを向く。腕には赤いリスが乗り、細い鎖を女性の指が持つ。肩の後ろからムクドリが顔を出す。
顔、手、動物は狭い範囲に集まり、白、青、赤が大きく分かれる。女性の名を示す文字はないが、二匹の動物が身元を考える手がかりになる。
作品の見どころ
白い服、青い背景、赤いリスを明快に分け、動物を家名の手がかりへ変える。本人同定が絵の細部から組み立てられ、見る行為が調査につながる。
毛皮、薄い麻布、金属の鎖、羽毛はそれぞれ違う描き方で表される。とくに白い布は影だけで折れ目を見せ、強い色を使わず立体感を作っている。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1527〜1528年頃、ホルバイン最初のイングランド滞在中の作品として所蔵する。女性はアン・ラヴェルと考えられるが、確定していないため題名にも疑問符が付く。
ムクドリは一族の所領イースト・ハーリングの名を連想させ、リスはラヴェル家の紋章に現れる。美術館はこの組み合わせを人物同定の根拠とするが、委嘱理由には複数の可能性がある。