農夫(《死の舞踏》より)
画家 ハンス・ホルバイン(子) →The Peasant (or Ploughman), from The Dance of Death / メトロポリタン美術館
馬が進み、農夫が耕す、その列に骸骨も加わっている。遠い世界の死ではなく、畑仕事のただ中に現れる死を、小さな木版の線で見せる。
何が描かれているか
馬を使って畑を耕す農夫のそばに、骸骨が現れる。後ろには起伏のある土地、木々、家並みが続き、遠くの空には太陽の光が放射状に広がっている。
黒い線だけで、馬の身体、農夫の曲がった姿勢、土の畝まで描き分けている。色がなくても、斜めに連なる馬と人の配置から、作業が進む方向を追える。
作品の見どころ
骸骨だけを探したあと、農夫と同じ作業の列に入っていることを見たい。日常の仕事と死が一つの風景に重なり、不気味な人物が遠くから眺める構図とは違う近さを感じさせる。
メトロポリタン美術館が記録する紙の大きさは、縦6.5cm、横4.9cm。画面を拡大すると細かな線が増えて見えるが、実物は手の中に収まるほど小さい。その尺度と、遠景まで詰め込まれた情報量を一緒に考えたい。
制作背景
《死の舞踏》に属する木版画で、所蔵館は図案を1526年頃、出版を1538年と記録する。二つの年は同じ出来事を指していないため、ここでは図案を描いた時期と印刷物が出版された時期を分けて示す。
図案を作ったのはホルバイン、版木を彫ったのはハンス・リュッツェルブルガーである。木版画は木の版に残した部分へインクを付け、紙に刷る技法。画家の構成と、細い線を木へ移す職人の仕事が重なっている。
作品情報
材質・技法
木版画(図案:ホルバイン/版木の彫り:ハンス・リュッツェルブルガー)
位置づけ
農作業の場面に骸骨を置いた小さな木版画。図案と版木を彫る仕事を別の人が担った。
制作と出版
1526年頃は図案の制作、1538年は出版。
出典・画像について
画像:Hans Holbein the Younger《農夫(《死の舞踏》より)》/農夫(《死の舞踏》より) — Hans Holbein the Younger / The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1919
切り抜きなし。
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