中央の聖母子を、司教と甲冑の聖人が左右から囲む。青い衣、赤い旗、金属の光を見比べると、人物の立場だけでなく、同じ空間にいることも伝わってくる。
何が描かれているか
聖母マリアが幼いキリストを抱いて座り、その左右に二人の聖人が立つ。画面左の人物は司教の帽子と杖、右の人物は甲冑と赤白の旗を持つ。所蔵館は二人を聖マルティヌスと聖ウルススと説明している。
背後には丸いアーチと窓があり、足元には模様のある敷物が広がる。司教の足元には小さな人物もいる。聖母の青い衣が階段へ大きく垂れ、画面中央と下部をつないでいる。
作品の見どころ
まず聖母の頭から幼児、階段へ視線を下ろし、左右の聖人へ戻ってみたい。中央へ集まる配置の中でも、立つ人物と座る人物の高さ、衣と金属の質感が描き分けられている。
甲冑には白い光が細く走り、司教の衣には細かな模様が詰まる。装飾を一つずつ追ったあと、聖母の広い青い衣へ目を戻すと、細部の多い部分と静かな大きな形の違いが分かる。
制作背景
ゾロトゥルン美術館は1522年の作品として紹介し、ホルバインがバーゼルで活動した時期の重要な宗教画に位置づけている。宮廷の肖像だけでなく、聖母子と聖人をまとめる画面も手がけたことが分かる。
館の解説は、長く所在が分からなかったこの板絵が19世紀に再発見され、美術館の建設を促すきっかけとなったことにも触れる。現在の所蔵先の名が付いた作品であり、肖像画とは違う仕事を見る入口になる。
作品情報
位置づけ
聖母子と二人の聖人を一つの空間にまとめた、バーゼル時代の宗教画。
出典・画像について
画像:Hans Holbein the Younger《ゾロトゥルンの聖母》/ゾロトゥルンの聖母 — Hans Holbein the Younger / Wikimedia Commons / Oskar Bätschmann & Pascal Griener, Hans Holbein (1997)
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