1535〜1540年頃
30代後半〜40代前半

タンタロス(装飾品の図案)

画家 ハンス・ホルバイン(子) →
Tantalus / ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
果実は頭上、水は口元にあるのに、タンタロスはどちらにも届かない。小さな円の中で、近くにあるものを得られない神話の苦しみを見せる。

何が描かれているか

水の中の人物が頭を上へ向け、その上に果実を付けた木の枝が広がる。枝の周囲には文字のある帯が曲がっている。掲載画像は、この円形の図案を額に収めた状態を写している。
ギリシャ神話のタンタロスは、目の前の水を飲めず、頭上の果実も食べられない罰を受ける人物である。水と木は単なる背景ではなく、近いのに得られないものとして人物を取り囲む。

作品の見どころ

顔の向きから果実へ、そこから口元の水へ視線を戻してみたい。円の中で欲しいものと身体の距離が小さくまとまり、大きな画面を使わずに物語を読ませている。
所蔵館が記録する図案の直径は5.1cmで、写真全体や額の大きさではない。拡大表示で線を見たあと、指先に近い尺度で描かれた作品だったことを思い返すと、細部の小ささが分かる。

制作背景

ナショナル・ギャラリー・オブ・アートは1535〜1540年頃の制作とし、ペンと黒インクに水彩と金を加えた紙の作品として所蔵する。簀目紙とは、紙をすく道具の細かな線の跡が残る紙のこと。
ゲティの展覧会解説は、帽子の飾りやメダリオンのための図案と説明する。メダリオンは円形の飾りを指す。完成した金属製品を写した画像ではなく、職人へ色や構成を伝えるために紙へ描いた仕事として見たい。

作品情報

材質・技法
ペンと黒インク、水彩、金による加筆、簀目紙
所蔵
ナショナル・ギャラリー・オブ・アート
目録番号
1998.18.1
位置づけ
帽子の飾りやメダリオンのための、直径5.1cmの小さな図案。宮廷での装飾品の仕事を紹介する。
図案の寸法
直径5.1 cm(写真や額の寸法ではない)

出典・画像について

画像:Hans Holbein the Younger《タンタロス(装飾品の図案)》/タンタロス(装飾品の図案) — Hans Holbein the Younger / National Gallery of Art / Wikimedia Commons
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-07 確認)
切り抜きなし。
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