傾く小舟を操っているのは、後ろに座る少年です。ホーマーは先行する構想から人物や錨の配置を変え、海へ向かう一瞬を何年もかけて整えました。
何が描かれているか
舟の後ろで裸足をそろえ、遠くを見ている少年が舵を握っています。大人がすべてを仕切る場面ではなく、少年にも役目があるのです。膨らむ帆と傾いた船べりが強い斜線をつくりますが、乗る人々は身体を合わせて、舟の動きを受け止めています。
作品の見どころ
この生き生きした一瞬には、数年にわたる調整が重なっています。先行する油彩画《ザ・フラート》と比べると、船首の人物は錨に変わり、舵取りも大人から少年へ移っています。人数や小道具を変えるだけで、舟の上の関係と、少年を見る目が変わるのが面白いところです。
制作背景
完成した絵は、アメリカ独立百周年に当たる1876年のフィラデルフィアの博覧会で展示されました。NGAによると、当時の批評家は錨に希望を、少年の前方への視線に戦後の国の未来を読み取りました。まず風の気持ちよさを味わい、次に舵と錨へ目を戻すと、絵の見え方がもう一段広がります。
作品情報
所蔵
ナショナル・ギャラリー・オブ・アート(ワシントン)
出典・画像について
画像:ウィンスロー・ホーマー《順風》/順風 — ウィンスロー・ホーマー / Courtesy National Gallery of Art, Washington; Gift of the W. L. and May T. Mellon Foundation, 1943.13.1
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