木の枝に身を預ける兵士は、銃の先だけを見つめています。けれど、兵士が狙う相手は描かれていません。一人の集中する姿から、見えない場所へ戦争が広がっていく絵です。
何が描かれているか
枝に腰を落ち着けた兵士が、長い銃を構えています。頬を銃床へ寄せ、銃身を別の枝で支える姿から、身体をできるだけ動かさずに狙おうとする様子が伝わります。足元に地面は見えず、木々と空の隙間が、兵士のいる高さを感じさせます。
作品の見どころ
銃は右へ伸びますが、その先の相手は描かれていません。顔も銃と帽子に隠れ、どんな表情か確かめにくいままです。兵士の姿をよく見るほど、絵の外で起こりうることが気になってきます。大勢が衝突する戦場ではなく、一人の見る行為に戦争を凝縮したような構図です。
制作背景
ホーマーは南北戦争中、雑誌の従軍画家として北軍の前線を訪れました。戦争で得た題材は、彼が本格的に油彩画へ進む出発点にもなります。1863年のこの絵と、終戦後の《新しい畑の帰還兵》を見比べると、同じ戦争を描く画家の関心が、戦場からその後の暮らしへ広がるのが分かります。
出典・画像について
画像:ウィンスロー・ホーマー《狙撃兵》/狙撃兵 — ウィンスロー・ホーマー / ポートランド美術館(メイン州) / Wikimedia Commons, Public Domain Mark 1.0
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