何が描かれているか
ひげのある男性が机に向かい、手に筆記具を持っている。身体は机の方を向き、顔は斜めにこちらへ向けられている。画面全体は暗く、顔と袖に明るい色が置かれる。
背後には暗い壁が広がり、手前には赤い色の面がある。細かな物をすべて均等に描くのではなく、顔、手、袖の明暗によって人物の姿が見えてくる。
作品の見どころ
まず明るい顔から、筆記具を持つ手へ視線を下ろしてみたい。顔だけを眺めると肖像として見えるが、手を一緒に見ることで、机に向かっている作業中の姿が分かる。
身体の向きと顔の向きの違いにも注目したい。見る側へ身体ごと正面を向ける肖像とは違い、机へ向かう姿勢の中で顔がこちらに現れている。
制作背景
フィンランド国立美術館は1919年、アテネウム美術館のヴァイノ・ヴァッリ・コレクションの作品として記録する。レーピンは1844年生まれなので、70代半ばの仕事にあたる。
作品記録の題名は医師が書く場面とするが、ここでは人物の個人名を確定して紹介しない。若い頃の大きな群像と見比べると、一人の顔と手へ画面を絞った晩年の人物画を見られる。