1818年
37〜38歳頃

カウニッツ姉妹の肖像

画家 アングル →
The Kaunitz Sisters (Leopoldine, Caroline, and Ferdinandine) / メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
三人の顔を順にたどり、腕と椅子、ピアノへ。薄い鉛筆の線が、姉妹のいる空間をつないでいる。

何が描かれているか

三人の少女がピアノのそばに集まっている。手前に座る一人、その後ろに立つ一人、右から楽器へ腕を伸ばす一人。顔の高さと体の向きが少しずつ違い、三人を一列に並べるだけの肖像にはなっていない。
描かれたのは、ローマ駐在のオーストリア大使カウニッツ=リートベルクの娘たちだ。所蔵館は、姉妹が13〜17歳の時の姿と説明する。巻いた髪や襟の飾りが、それぞれの顔を囲んでいる。

作品の見どころ

まず顔の位置を結んでから、腕や服の輪郭りんかくを追ってみたい。前後に重なる体と椅子、右のピアノが、少ない線で部屋の中の位置関係を示す。紙に残る空白も、人と人の間の距離に見えてくる。
顔は丁寧に描かれる一方、服や楽器は軽い線が中心だ。白黒の素描そびょうでも、濃く描いた髪や目元へ自然に視線が集まる。三人の顔を見比べながら、線の強さの違いにも注目したい。

制作背景

1818年に黒鉛で描かれた作品である。黒鉛は鉛筆の芯に使う素材だ。所蔵館は、背景が一家の音楽室である可能性を挙げるが、場所を確定してはいない。
一人を描いた《バダム夫人の肖像》と比べると、人物が増えた時に空間の組み立て方がどう変わるか分かりやすい。鉛筆の肖像にも、顔を写すだけではない構成の工夫がある。

作品情報

材質・技法
黒鉛・紙
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
目録番号
1998.21
位置づけ
三人の関係を線で組み立てる集団肖像

出典・画像について

画像:Jean-Auguste-Dominique Ingres《カウニッツ姉妹の肖像》/カウニッツ姉妹の肖像 — Jean-Auguste-Dominique Ingres / The Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-08 確認)
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