若い女性が水瓶を肩に掲げ、そこから流れる水が足元に注ぐ。岩と植物に囲まれた場所に一人で立ち、泉そのものを人の姿。
何が描かれているか
若い女性が水瓶を肩に掲げ、そこから流れる水が足元に注ぐ。岩と植物に囲まれた場所に一人で立ち、泉そのものを人の姿にした寓意画である。人物の体は正面を向き、腕は水瓶を支えるために上へ伸びる。物語の前後を示す出来事はなく、流れる水と立つ姿を見比べることが中心になる。静止した体と動く水の差が画面にリズムを作る。
作品の見どころ
腕から肩、腰、脚へ続く輪郭が、縦長の画面に収まる。水瓶の丸い形と体の曲線が響き合い、水の細い線が足元へ視線を導く。肌はなめらかで、岩や葉の細かな描写と対照的である。《ヴァルパンソンの浴女》と比べると、こちらは顔も正面から見せ、人体を自然の中の象徴として置いている。同じ浴女像ではないことも分かる。
制作背景
オルセー美術館は1856年に完成したと記録する。構想は1820年頃にさかのぼり、背景や小物の制作には助手も関わった。完成年だけを見ると晩年に突然生まれた絵に見えるが、画家は長くこの人物像を考えていた。古典的な人体の形を追い続けた仕事と、その制作に複数の手が加わった事実の両方を確かめられる作品である。
出典・画像について
画像:Jean-Auguste-Dominique Ingres《泉》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
CommonsのPublic Domain Mark / PD-Art表示に基づく忠実な複製。複製写真と所蔵館規程は法域で扱いが異なる可能性があります。
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