何が描かれているか
黒い地に、ピンク、青、黄、白などの形が浮かんでいます。大きな明るい形の周囲には、小さな円や曲線、内部に模様を持つ形が散らばっています。きっちりした幾何学的な部分と、体や器官を思わせる不規則な部分が同居しています。細かな色と模様が浮かび上がります。
作品の見どころ
黒を単なる暗さや悲しみの記号として読まず、その上で色がどう見えるかに注目してみましょう。小さな形でも、明るい色は強く前に出ます。大きな形が画面を支え、その周囲の細かな形が違う方向へ動くため、一つの中心だけでは見終わりません。《コンポジション IX》の明るい斜めの帯と比べると、地の違いが全体の印象を大きく変えることが分かります。形同士の響きや対立を比べてみましょう。
制作背景
1939年の油彩で、幅は約2メートルあります。所蔵館は、カンディンスキーの絵を理解する鍵として、形や色の「調和」と「対立」を説明しています。晩年の作品を初期の自由な色彩や、バウハウス期の幾何学と切り離さず、両方の経験を組み合わせた構成として見ると、画業全体のつながりが分かりやすくなります。