洪水の題材から出発し、激しく動く線と色の重なりへ場面を溶かした大作。
何が描かれているか
青、赤、黄、白の色面が渦のように重なり、黒い線がその間を走っています。中央付近では明るい色と暗い線が集まり、左右には違う密度の色が広がっています。何かの輪郭に見えた部分も、隣の線へ視線を移すと別の形へ変わります。船や波のような連想はできますが、一つの出来事を順番に説明する絵ではなく、全体が大きな動きとして目に入ります。
作品の見どころ
細い線と大きな色面が同じ場所で重なっても、完全には一致していないところが見どころです。輪郭を色で塗り分ける絵から離れ、線と色がそれぞれ動くことで、画面に複雑な強弱が生まれます。《コンポジション VII》と比べると、同じ1913年でも、色の集まり方や線の勢いが異なることを確かめられます。
制作背景
出発点には、1911年のガラス絵《大洪水》がありました。トレチャコフ美術館の解説は、完成へ向けた長い準備と、線と色を組み合わせる方法を説明しています。洪水を写実的に再現することより、形をほぐして絵画全体の構成へ変えることが重要でした。題材から抽象への展開を示す作品です。
出典・画像について
画像:ワシリー・カンディンスキー《コンポジション VI》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPD-Art / Public domain表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
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