水彩の色斑と細い線が紙面に散る作品。現在の制作年と、紙面に記された1910年を区別して見る。
何が描かれているか
白い紙の上に赤、青、黄の色斑が散り、細い黒い線がその間をつないでいます。色を囲む線もあれば、色から離れて曲がる線もあり、人物や風景を明確に描く輪郭にはなっていません。濃い色と薄くにじむ色が交互に現れ、塗られていない紙の白も大きな役割を持っています。
作品の見どころ
見どころは、色と線が同じ物を説明する必要から自由になっている点です。輪郭の内側を塗った絵とは違い、線だけを追う見方と、色だけを追う見方で別の流れが見えます。水彩の透明さも、形が重く固まらず浮かぶ印象を助けています。「最初」という呼び名だけで価値を判断せず、何の絵か特定できなくても、視線の移動や強弱が成り立つことを紙面で確かめると、この作品の面白さに近づけます。
制作背景
ポンピドゥー・センターの現行記録は制作年を1913年としています。一方、紙面には1910年という書込みがあり、作品の年代と書込みの数字は同一視できません。通称の「最初の抽象的水彩」も、世界で最初の抽象画と確定する意味ではありません。名称と書込み、現在の年代を分けて見ましょう。
出典・画像について
画像:ワシリー・カンディンスキー《無題(最初の抽象的水彩)》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPD-Art / Public domain表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
日本各地の所蔵作を集め、具象から抽象へ進む画業と、日本での受容をたどる展覧会図録です。
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